各自治体が実施した幸福度調査結果の比較分析

○はじめに
 本テーマに取り組んだ目的ですが、各種幸福度に関する調査について、調査結果を比較したり、分野ごとに詳細な分析を行ったりすることを通じて、幸福度調査の共通点を見出したり、幸福度向上に向けた政策立案の根拠となる視点を提供したりすることです。

○分析の進め方
 幸福度調査の比較分析の進め方ですが、以下の表に掲載の18の調査を分析の対象としました。

H29グループ②_2

 例えば、内閣府が実施した国民生活選好度調査や、荒川区が実施した荒川区民総幸福度に関する区民アンケートといった国や地方自治体が実施した調査の他、愛媛大学や大阪大学などの研究機関、さらには第一生命や博報堂などの民間企業などが行った調査も分析の対象に含めました。また、幸福度調査だけでなく、各自治体で行っている意識調査についても分析の対象としました。そしてこれらの調査結果から、幸福に結びつく要因を探るべく、調査項目や回答者の属性、調査結果の傾向などを洗い出し、属性ごとに幸福度の傾向や、どの分野が幸福度と相関が高い分野なのか、またどの分野が不幸や不満を感じる分野なのかなどについて、それぞれの調査の間で共通点を大まかに整理しました。

○分析結果
 まず、幸福度と属性との関係についてです。幸福度が高い属性としましては、対象とした多くの調査において、「性別」については女性、「職業」については専業主婦(夫)、学生、会社役員、「配偶者」や「子ども」については有り、「収入」については高い、そして「幸福の判断基準」として自分の理想と比較する、が挙げられることがわかりました。一方、幸福度が低い属性としましては、「性別」については男性、「職業」については非正規社員、失業者、「配偶者」や「子ども」については無し(一人暮らし)、「収入」については低い、そして「幸福の判断基準」として他人と比較する、が挙げられることがわかりました。このように幸福度が高い人と低い人では対照的な結果となりました。

 次に、幸福度が高い傾向にある人の特徴としまして、人とのつながりが強い、健康である、生活にゆとりがある、悩みや心配事が少ない、社会貢献している、ワークライフバランスが充実している、などが挙げられることがわかりました。

 最後に、幸福にとって重要だと思う施策分野について年代別に整理した結果、下の図に示すように、健康、子育て・教育、産業、文化、環境、安全・安心、協働の分野において、大まかではありますが、傾向の違いが見られました。

H29グループ②_3

 まず、健康については、年代が上がるにつれて重要度も高くなっています。一方、子育て・教育については、20代、30代といった若い世代において重要度が高くなっています。そして産業は、現役世代を中心に重要度が高くなっています。また、安全・安心は、すべての年代において重要度が高い傾向にあることがわかりました。

 また、これらの分析を行う中で地域差も見られました。秋田市では、行政に力を入れて欲しい施策として、冬季の除雪が全年代で最も高く、また産業分野、特に雇用対策について、健康や子育て・教育といった分野よりも要望が高いという地域特性が見られました。また、佐賀市では、低平地であり水害に弱い土地柄であることから、河川環境の適切な管理の重要性が高いという地域特性が見られました。

○おわりに
 最後にまとめとしまして、本グループの議論で得られた成果と課題について示したいと思います。秋田市や佐賀市など、幸福にとって重要だと思う施策分野に地域特性が見られる事例もありましたが、分析の結果、大まかではありますが、対象とした各調査の共通項を見出すことができました。

 ここから、今後、各自治体が幸福度調査を実施した場合に、その結果が他の自治体と共通するものなのか、それともその地域の地域特性なのかを判断することができると言えます。

 また、グループの議論の中で、幸福度調査の結果を施策立案につなげていくことや、幸福度を用いて行政をどのように評価するべきかについては、どの自治体においても共通の課題であることが再認識されました。これらの課題については、幸せリーグで研究が進むことを期待したいと思います。ご清聴ありがとうございました。

実務者会議の各グループの発表内容は参加自治体の公式見解を表すものではありません。

最終更新日:平成29年10月13日