少子高齢化対策、雇用対策等

○はじめに
 グループ⑥の目的は二つあり、第一は、少子高齢化・雇用対策等を中心とした具体的実施事業の情報共有と意見交換をすることです。もう一つは、各種指標、例えば合計特殊出生率など様々な指標がありますが、そうした指標に基づいて自治体を類型化し、そのまとまりごとに実施事業の特色を検証することです。

 これまで実務者会議を6回開催しましたが、平成27・28年度は、地方創生の動きが本格化した時期と重なっております。そのため、議論は、地方創生関連の交付金を活用した事業の情報整理や意見交換が中心となりました。

○グループ内調査の実施
 情報交換・意見交換の手段として、グループ内の自治体の調査を行いました。調査票の作成にあたっては、各自治体が実施する「少子高齢化対策」や「雇用対策」の事業のうち、地方版総合戦略に位置付けられた事業を中心に聞きました。調査票には、KPIの欄を設けるなど、他の自治体の参考になるように留意しました。調査結果は全96頁の資料としてまとめました。

○自治体情報の整理と類型化(1)
 指標に基づく類型化について、検討のプロセスを述べます。まず、類型化に必要な情報、例えば、人口や予算規模といった様々な基本情報、合計特殊出生率などの人口動態、就業者総数など従業者に関する情報を、主に総務省統計局のホームページから収集しました。次に「人口」と「自市区町村で従事する就業者の割合(以下、自市区町村従業者割合と略記)」という二軸をもとにグループ分けを行いました。その結果、いくつかの類型に分けることが出来たのですが、そこには課題もありました。例えば、町村すべてが同じ類型に入ったり、明らかに特徴の異なる自治体が同じ類型に含まれたりしたことです。この結果を見て、グループ分けを見直すことになり、様々な指標を用いて再編を試みたのですが、なかなかうまくできませんでした。

 しかし、試行の中で興味深い結果も出ました。例えば、グラフの縦軸を自市区町村従業者割合、横軸を合計特殊出生率としたグラフです。各自治体の数値を散布図で示すと、若干の例外はありましたが、比例関係が見られました。この傾向が正しければ、まさに仕事と人が溶け込みあい、好循環が確立されることを意味しているのではないでしょうか。

○自治体情報の整理と類型化(2)
 改めて行った類型化では、調査票で得られた情報をもとに、事業を「少子化対策」「高齢化対策」「雇用対策」「その他」に分類し、それぞれの事業の実施状況について自治体ごとにポイントを算出し、一覧表を作成しました。事業ポイントは、その値が大きいほど、地方版総合戦略に位置付けた関連の事業を多く実施していることを意味しています。

○事業ポイントと指標の関係
 その後、事業ごとに、各自治体の事業ポイントと事業に関連の深い指標の数値を示すグラフを作成しました。

 例えば、下のグラフは、雇用対策事業に関するものです。自市区町村従業者割合と雇用対策事業の関係を示しています。

H29グループ⑥_2

 青い線は自市区町村従業者割合を、赤い棒は雇用対策事業ポイントを、黒い線は雇用対策事業ポイントの近似直線を示しています。自治体名は、自市区町村従業者割合が低い順から高い順になるように並べています。

 グラフから、自市区町村従業者割合が高い自治体ほど、雇用対策事業を多く実施している様子が窺えます。もちろんサンプルとなる自治体数が少ないことから、はっきりと傾向がでているとは言い難く、また、どうしてそうなるのか、その理由の分析はできておりません。また、グラフの右側の4市町(津南町、鴨川市、いわき市、佐渡市)に関しては、自市区町村従業者割合が8割を超えているにもかかわらず、雇用対策事業ポイントは相対的に低いことがわかります。つまり、ほとんどの住民が自分のまちで働いている自治体については、総合戦略に位置付けての雇用対策をそれほど行っていないことがわかります。

 同様の分析で、少子化対策に関しては、合計特殊出生率が高いと少子化対策事業が少なく、高齢化対策に関しては、老年人口割合が高いと高齢化対策事業が少ないという傾向が見られることがわかりました。

○おわりに
 実務者会議にはいくつかの成果がありました。第一は、多様な特性を持つ自治体が集まり、職員間で交流が図られたことです。第二は、地方創生に関する情報交換を行うことができたということです。第三は、当初の目的とは少し異なるかたちにはなりましたが、グラフ化をすることによって、各自治体の強み・弱みや各自治体が地方創生に向けて努力していることがわかったことです。ご清聴ありがとうございました。

実務者会議の各グループの発表内容は参加自治体の公式見解を表すものではありません。

最終更新日:平成29年10月13日