幸福度調査1グループ

「幸福度に関する調査項目を設定する上での視点:調査を行う自治体に向けたマニュアルの作成」

幸福度活用G

○はじめに
幸福度調査①グループでは、幸福度に関する調査を行う際のアプローチや視点、基礎的な事項などを整理したマニュアルや手引きを作成することができれば、調査の実施を予定している自治体にとって有効なツールになるのではないかと考え、「幸福度調査実施自治体向けマニュアル」を作成することを目標に議論を重ねてまいりました。

マニュアルを作成することは、これから調査の実施を予定している自治体のみならず、既に幸福度の調査を行っている自治体にとっても、他の自治体の視点を学んだり、調査項目を再構築する際の考えを整理したりすることなどに役立つものと考えます。
そこで本日は幸福度調査に関する基礎的事項の整理と、各自治体が実施しております幸福度調査の質問項目の分類を行い、今後調査を実施する際の基本事項について確認したいと思います。

○基礎編
まず、調査をする上で誰をターゲットにするのか、何のために調査するのか等、調査票を作成する上での、基本的な目的や手法などの基礎的な事項について整理をしました。

〈調査票作成の際のアプローチ〉
最初に調査票作成の際のアプローチという問題があります。

調査票を作成する上ではまず、市民の幸福度の把握を目的とするのか、市民のニーズの把握を目的とするか等の目的の整理が必要に なります。

次に、市民目線での調査なのか、行政目線の調査なのか、それぞれの目線によって設問が変わってくるため、調査票の設計者の目線を整理する必要があります。

さらに、特定の部署が実施する施策に特化した調査とするのか、幸福感に影響を与える指標に特化した調査とするのかといった、調査項目の分類を整理する必要があります。
最後に、実感度のほかに重要度を取り入れるかどうかについても検討を行う必要があるかと思います。

〈設問作成の際の視点〉
設問を作成する際には、どのような視点で設問を設定するかが課題となります。

指標には、個人の見方や捉え方を数値化した主観指標と、第三者の視点からの客観的な数値の把握を目指す客観指標の2種類があり、それぞれの特性を踏まえていずれかを選択する必要があります。

また、幸福度の判断基準の視点として、現時点での感じ方を絶対的に捉えるのか、あるいは他人との比較を行うのか、さらにはまた、その人の過去の幸福度や理想の幸福度との比較を行うのか、これらの点を踏まえた上で設問を作成する必要があります。

加えて、各質問の内容は、「幸福」により近く大きな視点で実感度を捉える政策レベルのものと、より具体的で日常生活に密接しているような施策・事業レベルでのものに分けることが出来ます。そのため、いずれのレベルの質問を選択するのか、あるいは両者の適切な配合を目指すのかが検討すべき課題となります。

〈属性の問題〉
最後に、調査では、年齢であるとか、性別、居住地域等の属性の確認が必要となります。
介護の必要の有無などの特定事項を把握する設問も必要ではないかと考えられ、これらの点を予め整理する必要があります。

○実践編
以上の基礎的な課題を踏まえまして、当グループ内で幸福度調査を実施している自治体の調査内容を項目ごとに分類・整理いたしますと次の表のようになります。

「基礎編」で整理した事項と、この質問項目の分類を組み合わせてアンケートを設計することで、活用パターンが広がります。

○終わりに
初めて幸福度に関する調査を実施しようとする自治体が、自ら幸福度に関する調査項目、指標を作成するのは、とても大変な作業であり、調査項目や指標を設定する上で、いかなる観点から、どのようなアプローチを採用すべきかは大きな課題です。

幸福度に関する調査とその活用については、これまでも様々なアプローチから研究や実践が行われておりますが、まだまだ先進事例が少ないのが現状です。

どのような目的で調査を行い、どのように活用したいか、さらには地域の実情によっても設定すべき調査項目や指標は異なってくるものと思われます。

調査項目の作成のための切り口や視点、結果の活用方法は数多く、また、これから開発されていくものもあると思われ、全てについて網羅することは困難ですが、マニュアルを作成することによってその負担を軽減することが出来るでしょう。

マニュアルをさらに整備発展させ、近い将来、リーグの統一的な調査票が作成され、幸せリーグの自治体間で、良い意味での比較が出来、お互い住民の為に切磋琢磨できるよう努めていきたいと考えます。

実務者会議の各グループの発表内容は参加自治体の公式見解を表すものではありません。

最終更新日:平成28年2月15日