幸福度活用グループ

「幸福のまちづくりの理念(条例等)と幸福度の総合計画の位置づけ・活用:モデル条例(骨子)・総合計画等への反映」

幸福度活用G

○はじめに
幸福度活用グループの検討テーマは、幸福なまちづくりの理念と幸福度の総合計画の位置づけ・活用であります。

テーマ設定の背景には、幸せリーグの設立趣意書に掲げられております、「住民の悩みや願いを受け止め、その声に真摯に向き合い、地域の将来を見据えて新たな課題に果敢にチャレンジしていくことを通じて、誰もが幸福を実感できる地域社会を築いていくこと」という基礎自治体が果たすべき使命があります。
基礎自治体がこの使命を果たしていくためには、どのようなことが大切なのかを議論して参りました。

○モデル条例:幸福のまちづくりの理念
幸福度活用グループでは、そのための一つの手段として、モデル条例の制定の検討を行い、その趣旨と骨子案についてご発表させて頂きたいと思います。

モデル条例の趣旨として、「「幸福」を明確に中心軸に据えたまちづくりを展開していく意義は大きい」と、「「幸福」を行政運営の中心軸に据え、まちづくりの方向を見定めていくことが、住民本位の行政を進める上で重要」であること、また、「住民総幸福のまちづくりを進める基本的で共通的な事柄を定め、住民皆で共有しまちづくりを進める」ということを謳っております。

○モデル条例の骨子案
さらに、「目的」「基本理念」「総合的・系統的な行政施策の体系構築等」「幸福度の把握」 「自助と基本理念等の共有」「共助等の環境」「他の地域と社会との連携」の8つの観点から骨子案を作成いたしました。

○骨子案の8つの観点
「目的」は「住民総幸福のまちづくりの基本理念を明らかにすること」であり、「基本理念」は「まちづくりは、住民の誰もが幸福をますます実感できるよう持続して発展することを目指す」というものです。

「総合的・体系的な行政施策の体系構築等」といたしまして、「基礎自治体は、行政施策の立案及び執行に当たり、次のことに留意する」とし、「幸福の多面的・総合的性格にかんがみること」「将来世代に及ぶ展望を踏まえること」「住民参画が促される環境づくりに努めること」の3点を挙げております。

また「幸福度の把握」として「基礎自治体は、住民の幸福度を指標化するなど幸福度の把握に努め、各種施策に反映する」ことを掲げております。

さらに「自助と基本理念等の共有」として「住民は、誰もが幸福をますます実感できるまちづくりの理念と意義に共有し、自ら幸福の実現に努めること」を挙げ、「共助等の環境」として、「基礎自治体は、住民が住民相互及び社会全体の幸福の実現への寄与と協力を行うことが促されるような、環境づくりに努める」ことを謳っています。また、「公助等の環境」として「基礎自治体は、住民の主体的努力が無理なく促されるような、セーフティネットの構築、犯罪の防止、防災・減災の推進など安全で安心できる生活環境の整備に努める」ことを述べております。

最後に「他の地域と社会との連携」として「基礎自治体は、互いに支え合い、助け合い、高め合って、地域住民及び地域社会全体の幸福の一層の実現が図られるよう努める」としております。

幸福度活用グループでの以上の議論を踏まえまして、既に京丹後市では実際に条例案を議会へ上程いたしました。

○幸福度の総合計画への位置づけ・活用
次に実際の総合計画への反映でございます。

各自治体の総合計画では、各施策等について数値目標を設け進捗管理をしてございます。これに幸福度を追加し、施策が住民の幸福の最大化に真に向かっているのかを点検することで、幸福度を基軸とした行政運営を行うことが出来るのではないかと考えました。

幸福度指標をどのように扱うかというので2種挙げられると思います。幸福度を施策評価の指標として位置づけるもの、もう一つは独立した指標として位置づけるものです。

課題といたしましては、個人の短期的な感情に幸福感が左右される可能性があること、また他地域との安易な比較に陥る可能性があることが挙げられます。

幸福度調査の活用にあたっては、同一地域における過去の調査結果との経年比較等を通し、慎重なかつ詳細な分析を行う必要があると考えております。

○行政評価への活用
行政評価への活用の事例として、荒川区の取り組みをご紹介したいと思います。

荒川区では、PDCAサイクルの分析評価として、世論調査、所管独自調査、地区の状況、国等の状況、経年評価の5つを用いておりましたが、新たに荒川区民総幸福度指標と区民意向調査を加え、幸福という視点・観点を取り入れております。これにより施策・政策の分析、改善、新規立案を行っているほか、縦割り防止や職員の意識改革へと繋げています。

○政策立案等への活用
次に政策立案等への活用です。

幸福度は主に個人の主観的要因に基づくと考えられ、その活用に際しては判断基準としての妥当性が問題として挙げられますが、この点については、客観データを併用することが有益な方法となるでしょう。

主観データと客観データを補完的に用いることによって、原因を正確に分析・評価し、施策の立案や見直しだけでなく、力を入れるべき分野への人員配置等、組織の見直しや予算配分等への活用ができるのではないかと考えております。

○終わりに
住民の幸福実感向上を全体の指針とするよう、総合計画の中に幸福度を位置づけ、行政評価等に活用していくことを期待します。

実務者会議の各グループの発表内容は参加自治体の公式見解を表すものではありません。

最終更新日:平成28年2月15日