行政評価や総合計画等への幸福度指標の反映

○はじめに
 グループ③では、自治体の総合計画に幸福度指標を反映させ、幸福度と施策を連動させることで、より具体的かつ計画的な幸福度向上に向けた取り組みを行うことができるのではと考え、このテーマに取り組みました。

 

○幸福度指標を活かしたまちづくりの仕組み
 はじめに、幸福度指標を活かしたまちづくりの仕組みについて、図のように整理しました。

H29グループ③_2

 まず、工程①の「現状把握」では、現在の住民の幸福度や幸福度につながる要因を把握します。それから工程②の「目標設定」で、現状にもとづき目標や取り組みを決定します。その後工程③の「評価・検証」でその取り組みを評価していきます。こうした一連の仕組みを担保するために、総合計画に位置づけていくことが必要になります。しかし、これまでの総合計画の指標というものは、主に事業(取り組み)の達成指標(例えば○○事業の参加者数)であったり、活動指標(例えば○○講座の実施回数)であったりが中心でした。

 幸福度指標は、ご存じのとおり主観指標です。この個人の幸福実感をどのようにまちづくりに活かしていくのか、それは自治体ごとの目指す方向や姿によって異なります。

○幸福度の総合計画への位置づけ方法
 自治体の総合計画に幸福度がどのように位置づけられているか、整理を行いました。結果、いくつかのパターンが見出されました。

 パターン1は、基本構想のみに記述するという方法です。これは取り組みを限定せずに、普遍的な理念として宣言するものです。パターン2は、基本構想に記述することに加え、基本施策の重点プロジェクトとして扱うという方法です。幸福度の向上に際して注力する分野を特定することで取り組みやすいという効果があります。それからパターン2ダッシュとして、基本構想での記述のほかに、幸福度に特化した計画やプランを別途立てるという方法です。総合計画に縛られすぎることなく、柔軟に取り組みやすいという効果があります。パターン3は、基本構想での記述のほかに、基本施策の各分野の中の施策内で記述する方法です。これにより各課が管理する施策事業に幸福の概念が組み込まれて、職員の意識の向上という効果が見込まれます。

 これらのパターンのどれが一番良いということではないのですが、各自治体が幸福度向上に向けてどのようなまちづくりを進めるのか、何を目指すのかということを、十分議論することが大切であると考えます。

○幸福度指標による評価にあたっての留意点
 幸福度は、客観的な数値だけでは測れない、施策の進捗を確認できるものですが、それを評価する際には留意する点がいくつかあります。まず一つ目の留意点としては、施策の分野によって幸福度への寄与の程度が異なるということです。直接的に幸福度に影響する取り組みとそうでないものがあります。それに対する対応としては、評価の対象とする分野を絞りこむこと、分野ごとの性質を踏まえた指標を設定して、数値の変動量だけで一律に成果を議論しないということが大事になります。長期的に見ていくということが大事になると考えます。それから二つ目の留意点としては、幸福度は外部要因に影響されやすいということです。外部要因、例えば、災害が起きたり、大型施設が新たにできたりといったことが考えられます。それへの対応としては、施策を取り巻く要因を踏まえて評価を行うということが重要になると思います。

 最後に、評価手法について、グループから提案をさせていただきます。まず、相対評価の必要性です。主観的な指標が多い幸福度指標は地域の実情に合わせて独自に指標を設定していることが多く、絶対評価になりがちです。適切な目標設定や評価をする上で、他自治体の幸福度を確認したり比較したりすることも有意義であると考えます。そこで、全国で共通項目となり得る幸福度指標を検討し、幸福度調査の設問案としてまとめました。

 提案の第二は、クロス集計や分析の必要性です。こうした分析をすることによって、注力する分野や対象、施策の改善点が明らかになると考えられます。例えば、愛知県長久手市の幸福度調査では、まちや人とつながる人は幸福感が高いという結果が出ました。そこで長久手市では、市民に地域参加を促し、人と人がつながり、支え合う仕組みづくりを、市民とともに考え、進めている最中です。

○おわりに
 私たち自治体の職員の目標は、住民の福祉の向上です。住みよい町の実現にあたって、住民の幸せを重視し、調べていくということがとても大事であると考えます。全国の自治体で幸福度向上を目指したまちづくりが進んでいくことを期待したいと思います。以上で発表を終わります。ありがとうございました。

実務者会議の各グループの発表内容は参加自治体の公式見解を表すものではありません。

最終更新日:平成29年10月13日