まちおこしグループ

「「地方創生」時代のまちおこし」

まちおこしG

○はじめに
現代は少子高齢化と人口減少の時代であるだけでなく、全国ほとんどの地域で使える携帯電話に象徴されるように、モノや情報の地域格差が大きく縮小しつつある時代でもあります。モノや情報の地域格差が縮小しつつあるということは、アイディア次第で、様々な魅力あるまちおこしを行うことが出来るということです。国の地方創生戦略でも謳われているように、今の時代はピンチでもあると同時に、まちおこしのチャンスでもあるのです。

○「地方創生」時代のまちおこし
まちおこしグループには北海道から大分までの13の自治体が所属しています。それぞれ直面している課題や、それに対する取り組みも様々ですが、各自治体の取り組みを整理してみると、「独自産品の立ち上げ」「農業の6次産業化」「地域のアクターとの連携」「まちのブランド化」という4つの切り口によってまとめることが出来ると思います。

○独自産品の立ち上げ
最初の切り口は独自産品の立ち上げです。

小野小町の生誕伝説がある福島県小野町では、商工会青年部のアイディアからアイスクリームを挟んだ「おのまち小町アイスバーガー」が生まれました。町は備品やPR用品の購入に補助金を出して支援。平成25年には「商工会うまいもんNo.1決定戦」(福島県商工会青年部連合会主催)でグランプリを受賞しています。

また、きのこと鮭が名産の山形県鮭川村では、著名な料理人がきのこの見た目と味を審 査する全国唯一の大会である「全国キノコ食味&形のコンテスト」を開催しているほか、「オールイン鮭川カレー」など独自メニューの開発を進めています。

それぞれ、民間と行政が連携して、新たな産品を生み出した事例と言えるでしょう。

○農業の6次産業化
南高梅で400年の歴史を誇る和歌山県みなべ町は、1972年に市役所にうめ課を作るなど、まち一丸となって農業の6次産業化に取り組んでいます。

また日本一のすももの産地である、山梨県南アルプス市では、豊富な農産物を基に、販売からレストラン、カフェ、さらには体験農場までをも複合的に展開した南アルプス完熟農園をオープンいたします

どちらも行政と地元の産業界が一体となり、第1次、第2次、第3次の全ての産業を立体的に展開している所に特徴があります。

○地域のアクターとの連携
愛知県高浜市では、市民6,000人が参加して市民ムービー「タカハマ物語」を製作しました。みんなで一体となって活動した経験はその後も生きて、中高生たちが地元のイベントを企画するようになりました。

また、山形県米沢市では従来行政が運営していた秋祭り「棒杭市」を地元の大学生にゆだねました。祭りの運営を通じ、大学生たちは地域の色々な人たちとのネットワークを広げ、今では地域づくりサークルに発展。新たなプロジェクトを展開しています。

高浜市も米沢市も地元の若者を巻き込んだイベントの実施が、彼らの自律的な活動という発展的な動きをもたらした例と言えるでしょう。

また、三重県亀山市では、市内の美術作家の提案で、商店等の実行委員会が中心となり、7年前から街並みを活かした現代アート芸術祭「アート亀山」が行われています。現在は今後の持続的な発展に向けて体制づくりに取り組んでいるということです。

○まちのブランド化
最後に、まち全体の特色を明確にしていく、まちのブランドづくりの例を紹介します。

北海道釧路市は、夏は涼しく、冬は花粉に悩まされないという特色をまちのブランドとして打ち出し、移住・長期滞在者の受け入れ対策を整えました。その結果、移住者や長期滞在者が増加し、消費や不動産の取得等による経済効果が着実にあがっています。

次に神奈川県大和市です。大和市は「健康都市やまと」として、市政のあらゆる面で、市民の健康な生活の為の取り組みを進めています。大きな反響のあった「60歳代を高齢者と言わない都市やまと」宣言や、西太平洋10か国216の都市等が加入する健康都市連合での日本代表理事としての活動等、国内外からも大きな注目を集めています。

○おわりに
このように、私たちのグループ内だけでも多様なまちおこしのアプローチがあります。その中で共通する要素として、キーアクターの問題が挙げられるでしょう。

まちおこしの取り組みを立ち上げ、継続・発展させていくためには、中心となるキーアクターが不可欠です。キーアクターとなるのは、行政だけではありません。地域のリーダーや若者、地域おこし協力隊等との連携が求められます。

行政とキーアクターがどのような関係をつくり、どのように役割を分担していくか。「独自産品の立ち上げ」や、「農業の6次産業化」では行政と民間が一体となって活動を行っています。一方「地域のアクターとの連携」では、行政には、イベントを主体的に運営する地元アクターへの包括的な支援が求められます。地域や法制度を熟知する者として行政には、単に補助金を支出するだけでなく、運営の為のアドバイスや活動団体と活動希望者との仲介といった機能が求められているのです。

もちろん行政が主導的に取り組みを行うことも重要です。まち全体のブランドづくりでは、地元の特性や課題を汲み取り、行政が主導的にブランドを打ち出していました。

それぞれの自治体が、現状や課題を見つめ、地域に合った独自のまちおこしをする。このことが地域の住民の皆様の幸せにつながっていくのではないでしょうか。

実務者会議の各グループの発表内容は参加自治体の公式見解を表すものではありません。

最終更新日:平成28年2月15日