幸福度指標の活用、行政評価

○はじめに
 グループ②では、まず、行政評価の現状について話し合ったところ、どの部署も多忙な中で評価シートなどの必要資料を作成することが、また、評価担当部署も評価をすることが目的となってしまっており、予算編成や総合計画等と行政評価とが思うように連動できていないという意見が挙がりました。
 そこで、行政評価をどのように活用していくのか、どのような行政評価であれば効果的か、幸福度指標を行政評価にどのように活用できるかという3つの視点から、行政評価の活用方法を探ることとしました。

○効果的な行政評価のためのポイント
 そもそも行政評価はどのような方法で行うのが効果的であるのかを検討するために、各自治体において実際にスクラップをした、またはスクラップをしたいと考えている事業を事例として持ち寄って議論をし、5つのポイントとその対応案を整理しました。
 1つ目は、行政評価担当部署(企画部門)と予算編成担当部署(財政部門)が連携することです。具体的には、企画部門のみで行うことの多い行政評価のヒアリングを、財政部門と共同で行ってみてはどうかという案になりますが、財政部門の視点からも行政評価ができる一方、財政部門は予算額等の具体的な数値が見えないと判断が難しく、また、予算編成のヒアリングも別途行っているため、負担の増加が懸念されます。
 2つ目は、職員の労力や人件費を考慮した事業評価を行うことです。一般的に、評価シートには過去数年分の事業費を記載することが多いですが、その事業に従事した職員の労力や人件費も関係経費として記載してはどうかという案になります。これにより、時間外勤務等の実態も含めた経費を考慮したヒアリングができる反面、評価シートを公表する場合に一定の配慮が必要になると考えられます。
 3つ目は、事業の終期設定により、担当部署及び事業対象者への意識づけを行うことです。新規事業には終期を設定することで、事業を終わらせる場合に住民等への説明がしやすくなりますが、そもそも終期設定がなじまない事業が多く、また、各自治体の首長の判断によるところが大きいという課題があります。
 4つ目は、財政状況の今後の見通しと課題について、企画部門と各部署が共通認識を持つというものです。具体的には、財政部門から各部署の実務担当者へ課題を共有する機会を設けるという案になりますが、実際に事業を担当し、予算を作成する実務担当者へ、各自治体の財政状況を伝え、課題を共有することが重要であるという意見が出されました。
 最後は、住民の意見をどのように取り入れるかです。行政評価のヒアリングを行う際に、内部の職員のみならず外部委員等に参加してもらうことで、住民目線での評価ができると考えられます。しかし、外部委員といっても実際は数人の意見であり、それを住民全体の意見としてよいのかという懸念があります。

○行政評価の在り方
 効果的な行政評価を行うために想定した各ポイントを見ても、絶対にこれが効果的であるという明確な答えは得られませんでした。人口規模や財政状況、抱える課題・問題が十人十色な中、そして、同じ自治体の中でも状況が日々変化する中、私たちはむしろ行政評価という仕組み自体に絶対的な手法などはなく、各自治体の状況によってメリット・デメリットを認識した上で、目的に合った行政評価を設計・活用することこそが重要なのではないかという結論に達しました。
 そこで、下のスライドでは、「財政健全化・事業整理」「幸福度・満足度の向上」の2つを目的とした場合の、行政評価の在り方についてまとめています。

○おわりに
 最後に、幸福度指標の行政評価への活用について、住民の幸福度が高い事業を継続して、低い事業をやめる、あるいは改善・充実させていくという流れが通常だと思いますが、逆に住民の幸福度が一定程度に達したことをもって事業をやめることができないのか、一度上がった住民の幸福度を保ちつつその事業を終わらせる方法には一体どのようなものがあるのか、これらを本グループの今後の課題とさせていただきたいと思います。


●講評
 行政評価はアメリカではパフォーマンス・メジャーメントといい、基本的に財政部局で実施しています。アメリカでは人件費も政策経費に入っていて、連邦レベルで議会にその結果を報告するという大規模な仕組みになっています。日本ではそれを自治体レベルで取り入れて企画部門が評価する仕組みになっているので、財政部局と企画部門のズレが生じています。日本では予算の査定を熱心にやっているため、行政評価まで一緒に行うと大変煩雑になる上、あまりに統制色が強くなりすぎてしまうということも懸念されますが、このズレを修正していくことが求められます。
 また、評価シートを年度末に作成するのが忙しいという問題ですが、アメリカでは電子的に事務を処理しており、日々の仕事が月ごとに集計されているので、年度末に評価シートをまとめて書く必要がありません。日本でも、日頃の事務のやり方で自然に集計され、それでもやり切れないものを個別対応していくようにすれば、変わってくると思います。
 さらに、終期設定も面白いですが、行政評価でやるのはなかなか難しいです。なぜなら、一生懸命取り組めば、どのような施策でも行政評価では成果が出てしまうためです。そこで、政策評価といいますが、見直しの時期が来たら住民の意見を聞いてみて、効果を算定するような事後評価をしないと難しいと考えられます。
 しかし、住民の意見を聞くことについて、行政が住民に何をしているのかというアウトプットは把握できますが、その結果住民の皆さんがどうなったのかというアウトカムを把握することが一番難しく、アンケートだけではなかなか分かりません。また、住民側も新しい行政サービスが始まると当たり前になってしまって、そのサービスがなくなって初めて不満を感じることもあるため、アンケートの項目はよく考える必要があります。
 一般的に、事業の見直し等を検討する政策評価は手間がかかるので全ての施策を対象にはできません。そこで、思うような成果が出ていない事業を行政評価で絞り込み、アンケートを取ってみて、本当に効果があるのかを政策評価で調べるという流れで活用すると、うまくいくと思います。

実務者会議の各グループの発表内容は参加自治体の公式見解を表すものではありません。

最終更新日:令和2年3月6日